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Minato Unesco Association

前会長 永野 博氏 退任挨拶

高井光子前会長の後を継ぎ2016年に会長をお引き受けしましたが、あっという間に6年間の任期がたってしまいました。私はもともとユネスコ運動の経験がありません。科学技術庁が文部省と統合したため、予期していなかった仕事の一つがユネスコでした。そこで民間ユネスコ運動の大切さを知り、日本ユネスコ協会連盟の活動を支援した関係から、高井会長のお誘いで港ユネスコ協会に入りました。地域ユネスコ協会の活動に何か支援できればと考えただけだったのですが、大役をお引き受けすることになってしまいました。6年間の活動を支えていただいた副会長をはじめとする役員、会員の皆さん、また現在の事務局の方々、また港区教育委員会には心よりお礼を申し上げます。

港ユネスコ協会の強さは何といっても活動意欲のある会員の存在です。数々のチラシから明らかなように、全くのボランティア活動でありながら、これだけ多様な催しを実行できる活力は他にあまり類を見ません。弱点は若い人が少ないことでしょう。しかし、近年は東京海洋大学との連携も進み、活気のある活動を行えるようになり、発展の可能性を感じさせられます。

ユネスコの掲げる平和の理念を実現するためには、いみじくもユネスコ憲章が指摘するように、いつ反故にされるかわからない政府間の取り決めによる平和の約束よりも、人々の間の相互理解による連帯こそが代替不可能な基盤として不可欠です。平和の追求は、地球環境、食糧、エネルギー、都市、宗教、経済格差などの諸問題とも絡み合う複雑なテーマですし、ロシアによるウクライナ侵攻は、これが理念だけのことではなく、現実の問題であることを問いかけています。全国に点在する地域ユネスコ協会が、その存在意義を発揮できる、発揮しなければいけない時代が再びきたといってもよいと思います。

田部揆一郎新会長は、まだ日本人の学生が少ないころに米国の著名大学を卒業され、その後も国際的に活躍されてこられました。これからの時代を市民として何をどう考えていくかという時に求められる価値観を共有されているばかりでなく、草の根運動にも積極的にかかわられてこられた方ですので、新会長のもと、港ユネスコ協会の活動の更なる発展を心より願ってやみません。