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Minato Unesco Association

第五回 日本語スピーチコンテスト

2021年度港ユネスコ協会40周年記念

日時:2021年12月12日(日)13:30~16:00
会場:港区立男女平等参画センター「リーブラ」ホール

今年の出場者数は過去最多の12名!! やったあ! と 思わず、ガッツポーズでした。

 第一回のコンテストは出場者7人で始まりました。MUAの先輩方は地道に、港区内にある沢山の日本語学校に足を運んで出場者を募ってきました。そのご苦労が大変なものであったろうことは容易に想像できます。そして、そうしたご苦労が実ったかのように、MUAの創立40周年を記念する今年の第5回目コンテストには、当初予定していた参加者数10名を上回る12名が登録されたのです。

 出場者公募の方法としては区内の公共施設、大使館、インターナショナルスクール、日本語学校等へのパンフレットの送付に加えて、SNSやクチコミによる宣伝にも注力してきました。また、MUAが開催する他の行事、例えば習字、盆栽、盆石等の会場でも、参加者に対する日本語スピーチ コンテストの前宣伝を欠かしませんでした。

 今年は40周年記念ということもあり、司会者として出場者および見学者の皆さんに「40」に関する以下の質問をしてみました(答えはカッコ内):
 ・40年前 何が起こったか。(英国のダイアナ妃と  チャールズ王子の結婚、ローマ法皇の初来日  など)
 ・第40代天皇は だれか。(天武天皇。因みに今生  天皇の徳仁様は 126代天皇)
 ・第40代アメリカ合衆国大統領はだれか。(ロナルド・レーガン)
 ・40番目の元素は 何か。(ジルコニウム)
  そして、今年は小さな出場者が数人おりましたので、その子達に向けた質問として、
 ・アイスクリームを40個食べたらどうなるか。(お腹がいたくなる。)
と、半分冗談のような問いかけもして、皆さんの緊張がほぐれたところでスピーチに入りました。

 今年の最優秀賞者ネパール出身のパリヤル・ナビン

さん(下の写真)は新聞配達をしていて、高齢のお婆さんから「すみません」と謝られました。この経験をもとに、なぜ 謝られたのかを考えました。そして、お婆さんはきっと『「自分のために、暗い中、配達をしてくれている配達員に感謝し、苦労をかけてすまない」という気持ちを伝えたかった』のだ、という考えに至りました。日本語では言葉の表面上の意味だけでなく、その裏にこめられている意図も汲み取ることが大切です。ナビンさんのスピーチからは、ちょっとした疑問をきっかけに深い考察を行い、ネィティブである私達さえ見落としがちな日本人の心情を理解した経緯が伝わり、これが審査員の先生方の心を掴んだのだと思います。

 昨年から設けられた「会場特別賞」は見学している方々にも「これぞ!」と思うスピーカーに投票して頂く機会を与えるものです。ですから、来場した見学者の皆さんも各スピーカーの話にしっかりと耳を傾けることになります。

 今回の日本語スピーチコンテストの受賞者のお名前、出身国、題名は以下のとおりです:

 最優秀賞  Pariyar Nabin(パリヤル・ナビン) ネパール:「すみませんと200円」

 港ユネスコ協会会長賞    Chen Huang(晨黄:シンコウ) 中国:「感謝の心」

 港区長賞  Sarah Emily Harrison(セーラ・エミリー・ハリソン) イギリス:「本当に必要ですか?」

 審査員賞  Jomok Sahra Sicilia(ジョモック・サラ・シシリア) フィリピン: 「人生は前向きに進んで行こう」

 優秀賞 Nguyen Thi Mai(グエン・ティ・マイ) ベトナム:「日本人は冷たい」

 優秀賞 Yan Jinye (顔金葉:ガンキンヨウ) 中国:「私が見た日本」

 優秀賞 Lkhagvasuren Javzmaa(ラグハスレン・ジャブザマ) モンゴル:「コロナとわたし」

 優秀賞 Tran Thi Bien(トラン・ティビエン) ベトナム:「諦めない」

 優秀賞 Luke Chon(ルークチョン) 韓国(12歳):「ルークのジレンマ」

 優秀賞 Maya Olivia Wheeler(マヤ・オリヴィア・ウィーラー) ニュージーランド/米国(6歳):「コロナ」

 優秀賞 Janine Chon(ジャニンチョン) 韓国(9歳):「どうしてコロナがすきじゃないか」

 優秀賞 Aibike Daiirbekova(アイビケ・ダイルべゴヴァ)キルギス共和国(7歳):「What is Japan like to me?」

 会場特別賞 Sarah Emily Harrison

最優秀賞 Pariyar Nabin
会場特別賞 Sarah Emily Harrison
審査結果が出るまでスピーカーと参加者が歓談して国際交流を深めます

 MUAの創設以来40年という歴史の歩みはとても語り尽くせないものがあります。先人達のご苦労を無駄にしないように、今後も日本語学 習者がその成果を発表する場としてこのコンテストを継続して開催し、国際理解を深める一助にしていきたいと考えます。

(文責:港ユネスコ協会常任理事 田川純子)