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Minato Unesco Association

「世界経済の動向と暮らしへの影響&対応策」を拝聴して

みなとUNESCOサロン
「世界経済の動向と暮らしへの影響&対応策」を拝聴して

講師:福本芳朗
元TBSテレビ報道局記者で、報道番組部長、ロンドン支局長などを歴任し、現在、一般社団法人くらしの資産設計支援機構代表理事を務め、NPO法人日本FP協会認定CFP、社会福祉士など多数の資格を有する。

月日:2022年6月2日(木)
場所:港区立生涯学習センター

          福本芳朗講師

 今、世界の軍事費は年間年間2兆ドル(1ドル134円で約268兆円)超ともいわれている。国防という視点から考えた場合、世界情勢が混沌とすれば、今後日本だけではなく諸外国の防衛費や軍事費はさらに上昇する可能性は否定できない。この「お金」は果たしてどこから出てくるのであろうか?我々一人一人は、自問自答する必要があると思う。

 ユネスコ憲章の中に「戦争は心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という有名な文言がある。今後我々一人一人がこの言葉を忠実に守れば、世界で戦争や紛争もなくなり、平和をもたらすだけでなく、結果的に防衛費や軍事費の削減につながる可能性が高いと個人的には考える。つまり、世界中の人々が皆仲良くすることができれば、我々の生活にも良い影響を与えるのだ。このような意味でも港ユネスコ協会の活動は非常に意義があると自負する。

 今回私が拝聴したのは、6月2日(木)に港ユネスコ協会が主催した『みなとUNESCOサロン』の講演である。近年、港ユネスコ協会では、様々なジャンルの著名な方々をお招きし、講演を行っている。

 今回の講演者は元TBSテレビ報道局記者で、報道番組部長、ロンドン支局長などを歴任し、現在、一般社団法人くらしの資産設計支援機構代表理事を務め、NPO法人日本FP協会認定CFP、社会福祉士など多数の資格をお持ちになる福本芳朗講師。

 テーマは『~元国際記者/FPが語る世界経済の動向と暮らしの影響&対応策』であった。

 実は私も今期からNPO法人日本FP協会の評議員を務める現役のファイナンシャルプランナーであることもあり、今回の福本講師の講演は非常に楽しみであった。

 当日はコロナ対策で人数制限はしていたものの、満員御礼で開催された会場は熱気に包まれていた。冒頭、田部港ユネスコ協会会長の挨拶から始まり、福本講師の話が始まると、皆真剣そのもの。セミナーの内容は1)世界経済の動向、2)暮らしへの影響、3)対応策という順番であったが、約2時間の講演はあっという間に終了した。

具体的な当日の講演の内容は下記のとおりであった。

1)世界経済の動向について

 国際情勢を左右するポイントとして、●ウクライナ情勢●コロナの今後の展開●経済政策等について福本講師のTBSテレビ時代のエピソード等も交えながらわかりやすく解説してくださった。国際情勢の変遷については、過去の歴史を冷戦時代から米一強、新冷戦時代の可能性までわかりやすく解説。世界経済の動向については、消費の回復から今後の高インフレの可能性、利上げによる混乱や中国経済の鈍化の可能性に至るまでわかりやすく解説いただいた。個人的には、アメリカの高インフレによる金融引き締めが加速する(利上げ等)ことや、中国経済の様々な減速要因に基づく世界経済へ及ぼす影響などが非常に勉強になった。

2)暮らしへの影響について

 世界経済の動向の説明を終えた後、日本経済に言及。2022年政府・金融機関・シンクタンクの予測から始まり、株式の投資環境、債券の投資環境、不動産の投資環境、政府の基本政策など福本講師の視点でわかりやすく解説してくださった。特に日本の最近の物価の上昇やエネルギー価格の上昇、コロナ等による家計の具体的な影響については非常に参考になった。

3)対応策

 最後に対応策として、福本講師がFP実務家ならではの様々な説明をしてくださった。
 その内容は、新型コロナによる家計への影響やウクライナ情勢等の影響により、傷んだ家計を立て直すために必要な応急処置についてから始まり、支出の削減法や資産の増やし方についてであった。
 具体的には、コロナの対応策として、国などが行う支援制度(生活を守る支援、雇用を守る支援、事業を守る支援)の説明。ダメージを受けた家計を再点検する方法。支出を減らすための対策(固定費の削減)として、住宅のダウンサイジング(住み替え)による固定費の減少。保険の見直しによる支出削減。車を手放すことによる支出削減。電力会社などの見直しによる光熱費の見直しなどによる支出削減の説明があった。
 資産を増やす方法としては、長く働いた場合、預貯金等の残高の減少度がどのように具体的に変化するかという説明。高齢者雇用を後押しする法改正など。資産を増やす方法としては、分散投資の方法。年金受給額を増額する方法として、年金受給の繰下げのメリット・デメリットについて説明があり、最後にCF(キャッシュフロー)表による家計の見える化の説明があり終了した。

 拍手喝采のもと講演は終了したが、講演を聞いた方々からの意見として、『FPの仕事って、こういう仕事なんだね。すごく大事だね。』という言葉を多数いただいた。人生イロイロ。家計もイロイロ。ただ世界経済は、一つにつながっていて、「平和の砦を築くこと」が結果的に我々の生活にも良い影響を与えるということを改めて実感した一日であった。

(副会長 峰尾茂克)