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Minato Unesco Association

中華人民共和国駐日本国大使館訪問

日時:2019年7月16日(火)午後2時から
場所:港区元麻布

港ユネスコ協会・永野博会長を代表とし、会員とその家族26名を含むグループで元麻布にある中華人民共和国駐日本国大使館を訪問。最初に政治部アタッシェの王暁瑩(ワン・シャオイン)様から、政治部公使参事官・倪 健(ニー・ジェン)様および政治部一等書記官・邵 宏偉(シャオ・ホンウェイ)様をご紹介いただきました。続いて港ユネスコ協会の小林より永野博会長を紹介、三方のご挨拶で友好を確認し合いました。倪参事官、邵一等書記官からは今日の中国につき下記のとおり貴重なお話を伺うことが出来ました。

政治部公使参事官・倪 健(ニー・ジェン)様のご挨拶

今日の両国の関係につきメディアは、G20・大阪サミット等において安倍首相と習近平国家主席との度重なる会見を通じ、「既に正常に戻った」と伝えています。しかし国同士の友好関係の構築には国民、市民同士の交流が大切。今の中国人は何を考えているのかを知って頂き、その上で近隣同士仲良くしていかなければならないと思います。2千年以上の交流の中で、フェイス・トゥ・フェイスを心がけ、本日のような交流会を促進して、国と国との関係に先立って、港区民とののつながりを築いていくこうした場を歓迎します。

映画春節上映・全国各地の新年のお祝い、そこでの家族の団らん、龍の踊り等、様々な郷土のお祭り。明と清の時代の宮廷の舞楽から一般庶民へと広がり、豊作を祈り楽しんできた「吉祥と歓楽」、「鼓楽と舞踊」。春節の吉祥・平安・祝福・団欒、そして龍の踊りは民族文化の舞台でもあり、これが国家の発展につながっている。(30分程の映画を大画面で鑑賞)

政治部一等書記官・邵 宏偉(シャオ・ホンウェイ)様のお話

「中国と日本は、一衣帯水の間柄」と長い年月の中、隣国同士の深いつながりがある、との前置きから今日の中華人民共和国をテーマに、スライドショーの形で、お話をお伺いしました。

行政区画は23の省(陕西省・辽宁省・四川省ほか)、5自治区(内モンゴル・広西チワン・チベット・新疆ウイグル・寧夏回族)、4直轄市(北京・天津・上海・重慶)、2特別行政区(香港・マカオ)からなり、人口は14億人になろうとしている。世界総人口の18.6%を占め、日本の10倍。日本に長期滞在している中国の人は95万人、短期観光の人数は830万人に及んでいる。

悠久たる歴史と古代文明・・・4千年前の夏王朝、3千年前の商では(鉄)、そして周では(青銅器)、2700年前は春秋戦国時代・・・秦・漢・三国・普・隋・唐・宋・元・明・清・・・の長い歴史の中では、なじみの深い「兵馬俑」、「三国志」、「シルクロード」とつながる。2013年に「一帯一路経済構想」を打ち立てましたが、この構想は鑑真和尚とも縁のある「奈良」までを含んでいます。

四大発明・・・「活字印刷」「火薬」「羅針盤」および「紙」。
漢字は3千から4千もある表意文字。甲骨文字から始まり行書、草書、楷書と書体が多様化・・日本に伝わって「草書」から平仮名、片仮名と変換されていった。
多民族国家・・・チベット族、モンゴル族、ウイグル族、白族、苗(みゃお)族、朝鮮族、満州族など56の民族と言語からなっている。
演劇・・「京劇」は無形文化遺産。独特のくまどりが有名。
切紙・・無形文化遺産
楽器・・・琵琶、二胡、古箏、古琴、フールースなど。

年中行事・・・春節(旧正月)餃子は主に揚子江を挟んで北の方、ワンタンは南で好まれている 。

元宵節(旧暦の1/15)」は、月見の日。団子と華やかな灯篭で祝う。端午節(旧暦5/5)には粽、中秋節(旧暦8/15)には丸い月餅がつきもの。

教育・・・義務教育は、小学6年、初級中学3年の計9年間で23万カ所において1億4千万人が学んでいる。その後は高級中学、大学となる。大学は3千カ所で2600万人が学び、毎年750万人が卒業。

世界遺産・・・文化遺産:37、自然遺産:14、複合遺産:4と合計55。「万里の長城」は攻める目的の施設ではなく、あくまでも防御用の建造物。ほか紫禁城(故宮)、雲崗石窟、蘇州古典園林、ラサの

ポタラ宮、新疆天山、九寨溝、四川ジャイアント・パンダ、雲南省の棚田群など。世界に誇る遺産の数!ぜひ観光でいらしてください、とご案内頂きました。

ユネスコ活動・・・習近平国家主席夫人はユネスコ本部から「児童と婦人教育の特使」の称号を受け、世界レベルで活動している。1979年2月に教育部が中心となって全国委員会を立ち上げ、30部門の役所で推進している。2013年には中国の教育部副部長が「第7回 世界ユネスコ会議」の議長の任にあたった。今日、教育の促進と文化の保護など多方面での活動を推進している。民間レベルでは1986年に59のクラブが設立され、北京市の教育委員会そして学校などが組織に加わり、「国連ユネスコの平和的で偉大な思想を宣伝する為に各国と交流」をテーマとしている。主な財源は政府から、後は寄付により運営している。

駐日大使館・・・1972年9月29日に国交を結んで1973年に相互に大使館を設置。当初はホテル・ニューオータニ内に開設。1978年にここ元麻布に移動。その後「民をもって官を促す」という主旨で「友好交流部」を創設し、一層の交流をはかってきた。

記念撮影・・・これからもユネスコ精神の下、一層の交流をお願いして記念撮影で会を締めくくりました。大変有意義な一日となりました。

最後に・・・春節の爆竹・花火の華々しさは日本には無い風物ですが、長い歴史の中で両国の旧暦のお祭りには一層の親しみを覚えました。述べ20億人民が移動する今日の春節では、インターネットやスマホで新年の挨拶を交わす若者も増えている、とのこと。情報化社会の先を行っている中国を隣国として交流し、よりよいアジア大陸となるようお互いに努力することが大切と感じた一日でした。私自身「謡曲」に興味を持ち、全210曲の内、中国に縁のある約20曲に慣れ親しんできました。鶴亀、猩々、石橋、菊慈童、そして邯鄲、楊貴妃などの曲が有名です。長寿の祝い、親孝行の話、泰平のめでたさ、歴史上の人物などがテーマです。この他、故事引用句を加えると、その曲数はかなりの数に上ります。この度の訪問を機に、一層の親交を思い馴染みの深い物語でこれからの千年の齢を寿ぎ、次の世代に伝えていきたく思います。