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Minato Unesco Association

自然との共生 港区の森から海へ、そして世界へ

世界を見よう!みなとUNESCOサロン for SDGs
自然との共生
港区の森から海へ、そして世界へ

「国連海洋科学の10年」が2021年から始まりました

日時:2021年7月1日(木)18:00~19:50
会場:港区立生涯学習センター3階305号室
主催:港ユネスコ協会

講師:佐々木 剛氏 東京海洋大学海洋政策文化学部門教授水圏環境教育、水産教育。
   森川海とそのつながりを基調とした地域づくり教育の実践研究と普及。
   著書「日本の海洋資源(祥伝社)」他

「世界を見よう!みなとUNESCOサロン」シリーズ、今回から「for SDGs」を副題に添えて、今回は世界に繋がる「海」をテーマとしました。
港ユネスコ協会として、佐々木先生のご指導で東京海洋大学の学生さんと近隣の小中学生とで「海」を介しての交流を進めている中、
「芝浦」を基点とした東京湾クルージングはこの数年、回を追う度に人気です。また、先生は今年から始まる国連イベントのパネリストでもご活躍です。

<今回のテーマ>
★ 森と海のつながりを「歴史」時間的、「地形」空間的アプローチで読み解く
★ 活動の紹介
 ○水圏環境教育学実習 ○芝浦周辺の水辺生物 ○現在の水質環境 ○今私たちができることは?
 ○「森・川・海」の取り組み紹介
★ 港区の森から海へ そして“世界”へ

先生の自己紹介・・・
2006年迄、岩手県の水産高校で環境教育、牡蠣・帆立の養殖の指導。その中で実物を通して学びを進めて行くフィールドワークの重要性を認識。まさに海洋学者の名言「Study nature, not books (ルイ・アガシー)」を実感した日々でした。この理念をより多くの「先生方」に実践して貰うために「地域の環境を生かした教育」が大事と思い、2006年からは東京海洋大学へ行き、中学・高校生を対象に「野外学習のすすめ方」というスキルを身につけて貰う「教員養成課程」のカリキュラムを受け持っています。教えるというよりは一緒に学んでいます。
2010年からは港区の港南中学の生徒さん達と水質の調査・改善、そして高輪台高校、商業高校の生徒さん達とフィールドワークを進めています。

エスニック・バウンダリー論の紹介 文化人類学者 F.バルトの考え

「民族集団はそれぞれの言語や文化習慣といった内側の要素から定義されるのでなく『境界(バウンダリー)』を接している他民族との関係によって定義される。」 境界を設けることで初めて研究の対象となる、そして理解が深まるという考え方を「森・川・海」に当てはめていきます。

活動の紹介 「クルーズ船で東京探訪!!東京の森・川・海を知る」

今年の1/31に港ユネスコ協会主催で佐々木先生の下で開催した記録ビデオを上映しながら「取り組み」の一つを紹介。港ユネスコ協会のホームページ内で下記URLとリンクしています。
港区の生涯学習講座で動画配信されました クルーズ船で東京探訪!!「東京の森川海を知る」 – 港ユネスコ協会 (minato-unesco.jp)

森と海のつながりを読み解く 日本は森に囲まれている、森林を大事にしている・・・

港区には森も海もある・・・フィールドワークでより具体的に

  • 陸域(生活、仕事など)と水域(河川、浜辺、海洋、住む生物)に境界を引き
  • それぞれの視点から観察しどのようなつながりがみえるのか、時間的・空間的に検討。
  • その2つの陸域と水域との関わりの変遷を知り、都市と水辺、海洋のあり方を考察。

さあ、私たちの水辺を見ていきましょう!!
古代からの森・川・海、人の生活があり」、「舟運」によるつながりが見えてきます。

  • 隅田川、神田川、古川・・・人工の玉川上水
  • 新宿御苑、明治神宮、江戸城
  • 竹芝・・・舟運の基点
  • 遠浅の砂浜、江戸前の水産物、後に日本で初の療養の為の海水浴場
  • 武蔵野台地、国分寺崖線、

★ 「江戸」の名前の成り立ちは「江」・・大きな川、「戸」・・出入り口には商船学校の礎の地でもあり水辺があっての街がつくられてきました。
★ 4年前にに「海」を身近なものにしようという考えでJR東日本さんが「水辺」の構想を抱き2020年に浜離宮の隣に「竹芝ウオーターズ」を完成させ
 ました。環境保全を目的とした干潟を再現したり、東京湾を再生する拠点として位置づけています。
★ 竹芝に注ぐ古川の源流はどこ?・・・「新宿御苑」です。麻布十番、有栖川宮公園、白金台、恵比寿、渋谷、原宿、南青山、明治神宮、新宿御苑と
 全てが「古川」の流域なんです。ベネチア、アムステルダム、蘇州、バンコクなど平坦な水網都市であるのに対して東京は武蔵野台地に広がる凸凹
 地形を巧みに読み込み、人間の手も大いに加えて創り上げられた世界にも類例のないダイナミックな三次元的「水の都市」といえる所以です。

私たちにできることは・・「江戸前を復活させる」ために家庭でできる7つの行動

◇台所では
 1.ごはんを残さず食べます!感謝の気持ちを忘れません。
 2.食器の汚れは拭き取ってから洗います。有機的(窒素、リンなどのもと)を75%カットできます。
 3.三角コーナーでは水切り袋を使います。ゴミ45%をカット。
 4.油を流しません。
◇洗濯では
 5.海で分解しやすく臭いの少ない「石けん洗剤」を使います。
 6.風呂の残り湯を洗濯物に使います。
◇風呂では
 7.石鹸や植物由来のシャンプーを使います。クエン酸由来などの海に優しいリンスを使います。
その他
 「鉄炭団子による浄化活動」・・使い捨てカイロ回収活動をしています。

国連海洋科学の10年」が2021年から始まりました

「国連オーシャン ディケード ラボ」のURLをご参照ください。
http://www2.kaiyodai.ac.jp/~t-sasaki/Takeshiba/
国連の催しとしてドイツ政府が主催して世界中の研究室が繋がってのイベントです。
アジアを代表して佐々木先生の研究室が選ばれ、10年間のわたり活動をされていきます

まとめ
私たちの身近な海。水蒸気となって雨を降らし、東京の森を育て、川となって海に注ぐ ・・・ ここには古代から営々と育まれてきた「大自然」があります。
佐々木剛先生の「東京の森・川・海を知る」シリーズを今回は地上の講義で伺いました。併せて2021年から始まった「国連海洋科学の10年」での活動の一端に私ども協会も参画できたこと、今後は広く深く応援していこうと思う一日でした。

(会員開発委員会担当 常任理事 小林敬幸)