東京の森川海を知る シリーズ NO.8
「湾岸を海から眺望 & 生き物観察」
~ 運河の生きものと私たちのつながり ~
日時:2026年1月31日(土)9:30~14:00
会場:日の出桟橋、港区の運河、古川の河口
主催:港ユネスコ協会
共催:港区教育委員会、東京海洋大学水圏環境教育学研究室
講師:佐々木 剛 先生(東京海洋大学海洋政策文化学科教授・水産学博士)
大寒の季節の中、好天に恵まれ東京海洋大学の生徒さん含む27名さまにご参加いただきました。
1.日の出桟橋を出航、生き物観察のためプランクトン採集、採水・・・歴史と環境を確認
東京湾に面して運輸や排水、給水のために人工的に作られた水路「運河」の自然環境を調べました。川の水、海の水の交じり合う場所「気水」での「水質、表層、低層の水、水温、塩分、COD(水の濁り具合)」を測るため「採水」。船を進めながら歴史を確認。電機会社「東芝」の拠点の地、芝浦一丁目「重箱堀」辺りは療養場所、海水浴場(心と体を癒す)の歴史のある地、明治21年に水産伝習所(東京海洋大学)が設立された地など芝浦の近世の歴史を学び、又ここは武蔵野台地の西側に位置して青梅、羽村(標高・250m)から水が流れてくる最終点。新宿、麻布の所々に湧き水も含んで東京湾の水の流れ、大地を削る歴史も説明いただきました。
港区の清家区長さんは「港区は東洋のベネチア、水の都を目指す」のお考え。これに佐々木先生は大賛同され、もうひとつの水の都、中国の蘇州「楓橋夜泊(ふうきょうやはく)」(張継作)の詩吟の一節を吟じてくださいました。お気持ちは芝浦に「水の都を作ろう!!」でした。


2.近年の環境対策と残る課題 「カニ護岸」を確認。
ここには一万匹のカニが生息、カルガモも住むようになった。ここでは「鉄の団子(植物プランクトン(珪藻)に鉄イオンを供給して増殖を促進)」を10年投入し続け、不純物(硫化水素など)を鉄が吸収してくれることで海の浄化を図っている。船を進めるうちにオレンジ色の「オイルフェンス」が見えてきました。生活排水23区の内10区分を「水再生センター(芝浦)」」で浄化しているが、大雨で処理しきれない分をここから排水するとのこと、量が多すぎることが課題。そして「東京の生下水が出る場所600カ所ある。これも解決しながら海の環境を整えていきたい」と解説頂きました。
3.生き物と水質の観察
採集した生き物「プランクトン」を肉眼でも見ることができました。表層水温10.0度、低層水温10.0度(通常は表層より少し温かい)。表層塩分1.5、低層は通常3,5。上が真水、下に塩水の状況を「塩水楔(くさび)」という。河川水よりも密度の高い海水が淡水の下にもぐり状に上流へ入り込む状況を言う。「この流れを生物は巧みに利用して鉛直移動、横移動、回転移動して河口域に留まって生息。プランクトンも集まり、食物連鎖が起き、人も住み、街ができる・・」と解説いただきました。
4.芝浦はどんな所?
船中で「芝浦」で思うことを話し合いました。「埋め立てられた運河、心地よい風、屋形船、東京の漁業の拠点、すしの発祥、漁師さん、」などイメージが出されました。


5.下船後は、日の出桟橋の広場で「これからの芝浦について」グループワーク、そして発表
「排水での汚染のことを再認識した」「水辺のふれあい環境が大事。洗剤、油の処理に注意していきたい」、「生物多様の実態が分かった。野生、水質、排水、下水、個人の努力によって将来は魚が増えていくようにしたい」「生き物のつながりが分かった」「水上航路を増やしたい」「水質改善キープ」「船着き場を増やす、釣りができるようにしておいしく食べられる魚を増やしたい」「水の環境を自分のこととして考えるきっかけになった」「もっと水辺のことを知るべき」など話し合いました。
6.午後は鈴木晴美さん(古川の河口の金杉橋を湊として漁業を営まれておられる)のお話
「東京湾でアナゴ、あさり、クルマエビ、スズキが獲れる。海苔(浅草海苔)を養殖した時代もあった。これからもおいしい海の幸を提供していきたい」「羽田沖では小型の定置網、スズキ、太刀魚、イナダ、マコガレイも獲れる」「多くの小学生とも一緒に東京の海を学んでいる。その時にも輸入時に紛れ込んだ外来種、ゴミ、ビニール袋ペットボトル、ビニール袋の話題も多くでる。子供たちが真剣に環境を考えている」「セメントで護岸工事もあって浅瀬が少なくなり(産卵環境には浅瀬が必要)・酸欠状態になるとプランクトンが死んでしまう・・砂を他から運んで人工浅瀬を作ったりしている」「海をきれいに使おうという気持ちが大切ですね」
7.まとめ
毎年9月には芝浦の「水神様」のお祭りがある。豊漁と航行安全を守ってくれる神様ですが、海の環境を整えるのは我々住んでいる人たちの問題であるとも感じた一日でした。
佐々木先生より「東京の海に興味関心を持っていただける一日になりました。『皆さまの生活が海とつながっている』という思いを感じていただけたと思います。これからも海とつながって行きたいです。」と結ばれました。
港区の海を川と森から探索したり、湾岸を巡ったりしての「東京の森・川・海を知る」シリーズ8回目を無事に終えることができました。フィールドワークという内容の為、話し手様の声が、皆さまに届きにくかったことお詫び申し上げます。

(副会長 小林敬幸)