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日本人なら知っておきたい~おいしい魚の教養

2025年度 第3回国際理解講演会
「日本人なら知っておきたい~おいしい魚の教養」
ながさき一生氏 おさかなコーディネーター/東京海洋大学講師

日時:2025年11月29日(土)18:30~20:30
会場:港区立男女平等参画センター リーブラ学習室C
主催:港ユネスコ協会 
共催:港区教育委員会

1.【自己紹介】

新潟県糸魚川市筒石の漁師の家に生まれ育つ→東京海洋大学→築地市場勤務→東京海洋大学博士課程修了→大手通信会社勤務&さかなの会立ち上げ→おいしい魚の専門家として独立
現在、セミナー講師、執筆、イベント主催、PR、ICT化支援、魚アドバイザー最近の著書:「魚ビジネス」

2. 【日本・東京都・港区と魚】

・日本にとって魚は重要なたんぱく源
日本では7000年以上前から魚を食べていたと思われる。縄文時代の貝塚などから様々な魚の骨が発掘されている。FAO(国連食糧農業機関)の資料によると、2018年時点で日本の一人当たりの魚介類の年間消費量は45kgで世界平均の20.5kgの倍以上となっている。魚は地域での舞や祭りなど他の文化にも派生している。

・魚の消費量が多い都道府県の1位は富山県富山市(ブリ全国1位)少ないのは沖縄県那覇市(鰹節や缶詰は全国1位)、マグロの消費量1位は静岡市(焼津港がある)、2位は甲府市(海はないのに静岡の港から運ぶルートが古くからあり)

・魚種ごとにも傾向が違い、青魚で見ると購入量については、アジは西日本が多く(1位は長崎市)サンマは東日本が多い(1位は札幌市)。魚種によって多く消費されている地域は異なる。

・東京は全国でも5番目の魚に支出金額の多い都道府県。また東京は全国・世界から様々な魚介が集まってくることが特徴で、豊洲で扱う品目は500品目にもなり、世界一取扱金額の大きな魚市場である。また、東京都は漁業でも大島や東京湾、それから内陸の河川で多くの魚種の生産量がある。

・東京では海外から来た外国人に寿司下駄を出すと、全国のいろいろなところで取れた魚の種類が一度に食べられることのすごさを感じられる。

・港区のお魚の歴史は古く、江戸時代の海岸沿いは「芝濱(しばはま)」と呼ばれる砂浜で現在の本芝公園付近には「雑魚場(ざこば)」と呼ばれる小魚を扱う魚市場があった。本芝浦と金杉浦は江戸城に魚を納める義務のある「御菜八ヶ浦(おさいはっかうら)」に含まれており江戸の食文化を支えていた。関東大震災後芝浦に仮設市場が開設されたが後に築地に移転し、現在の豊洲市場につながるルーツの一つが港区にあったと言える。

 現在でも港漁業協同組合や芝漁業協同組合が存在しており江戸前の海産物を提供し続けている。また、東京海洋大学(港区港南)と連携した食文化の講義や親子への食育イベントなど魚食への関心を高める取り組みが行われている。

3.【食卓に届けられる魚の変化とその原因】

・獲れる魚が変わってきている。
北海道でブリが揚がる→海流の変化、黒潮の蛇行が終わったか。
能登半島地震による海の地殻変動で魚種の変化が起こっている。
瀬戸内海の栄養分が減ってイカナゴやタコが獲れない→上水道をきれいにする為、チッソやリンが少なくなったためと言われていた。ごく最近、イカナゴについては、温暖化の影響でエサとなるプランクトンが少なくなり、夏場にもエサを求めるようになったところ、天敵(サワラなど)に捕食されることが主な原因と分かった。
東京で冬の海水温が3度上がって下がらない→タチウオやクロダイが盛んに獲れるようになった。
・海水温・海流の変化や海の酸性化(CO2による)、周期変動、海の地殻変動などが原因、沿岸環境の変化や漁獲により人為的な影響も。原因は温暖化だけでもない。

  <最近ニュースで聞く話>
・マグロの資源量が増加して豊漁になり、以前よりお手頃に食べられる。漁場で狙っていない定置網に入ってくる。漁獲量の制限で漁獲枠がない場合は、どの道死滅する可能性が高いにも関わらずリリースしなければならないなど資源保護の関係でよい事ばかりではない。
・頭足類のスルメイカの漁獲量が10年前の7分の1に減少。今年は豊漁だが漁獲枠の関係で一時漁獲できず資源管理方法の見直しも必要か。ちなみにスルメイカは寿命が1年で産卵が終わると死んでおしまいになる。
・ウナギはワシントン条約により取引規制対象とするか会議に掛けられたが否決された。ちなみにヨーロッパやアメリカではウナギはあまり食べない。

4.【変わる これからの魚の常識】

・昔、魚を買っていた場所は街の魚屋。現在はスーパーの魚売り場。
・マス流通のスーパーでは、魚は同じ規格のものを大量に求めるが、漁業側は規格化できないし網を上げるまでは何が入るか分からない。規格化できない魚は現代の流通と相性が悪い。従って現代的な流通には冷凍・養殖が求められる。
・技術革新の影響では保存・冷凍の技術の進歩で安定的においしく食べられるが旬を楽しむ概念が薄れる。養殖技術の進歩は味をニーズに合わせられるが、味の多様化が低迷する。新たな生産技術の進歩で、細胞培養による魚肉生産が可能になり、より効率的な生産が可能になるが、魚食文化の多様性の低迷が懸念される。
・ブリと言えば北陸→北海道でもブリ
 天然がおいしい→養殖もおいしい
 生がおいしい→冷凍もおいしい
 缶詰や干物は保存食→缶詰や干物もご馳走~一昔前の『魚の常識』は変化しています。

5.【おいしい魚を食べ続けるために】

・いろいろな魚を食べることで資源分散を考える。
・求める魚を応援することが食べ続けることにつながる。
・すべて自分で知ろうとせずに魚に詳しい人と仲良くなることで魚の情報のアップデートにつながる。
   ~魚で日本を元気に

(国際学術文化委員会 梅根敬一郎)